わが家は電気代500円

 「節電で月の電気代は五百円程度」という主婦の投稿が、五月末の本紙発言欄に載った。どうすればそんな生活ができるのか。東京郊外に住む読者を訪ね、さまざまな工夫を重ねた暮らしぶりを見せてもらった。 (竹上順子)
 東京駅から電車を乗り継いで約一時間半の東京都あきる野市。JR武蔵五日市駅から徒歩十分の住宅地に「発想変え無理せず節電」の投稿を寄せた主婦、東奏子(あずまかなこ)さん(32)の一家が暮らす築五十年の木造二階建てがあった。近くには秋川が流れ、河原でバーベキューや川遊びが楽しめる。
 見せてもらった今年四月の領収金額は、基本料金二百七十三円込みで五百十二円とあった。東京電力との契約アンペアは、最も少ない十アンペアだ。
 会社員の夫(37)と長女(5つ)、長男(2つ)の四人暮らし。以前から節電に取り組み、東日本大震災後の昨年五月には、読者の工夫を紹介する本紙暮らし面にも登場してくれた。長男が布おむつを使わなくなった昨春から、洗濯機を使っていない。当時から電気代は月約二千円と少なかったが、さらにパワーアップした。
 「冷蔵庫を使わなくなったのが大きい」と東さん。昨年十月に冷蔵庫を被災地支援で送って以来、月五百円台に落ちている。冷蔵庫と洗濯機なしの生活は、何やら特殊な感じもするが、「ちょっと昔の暮らし方と同じ。慣れれば大丈夫。夫もそう言っています」。
 東さんは「冬は家の中も寒く、お肉もお魚も傷みませんでした」と笑う。暑い日には、野菜を水に漬けて冷やして置いたりもする。肉や魚は買ったらすぐに調理するか、塩こうじなどに漬け、夕方には調理している。
 食材は、近所の商店やスーパーで二~三日に一回程度買うほか、近くに借りた約六十坪の家庭菜園で旬の野菜が取れる。敷地面積約六十坪の自宅の庭で二羽のウコッケイを飼っていて、その卵や近所の人のおすそ分けの野菜も食卓を彩る。「最近は使い切れる量が分かり、買い過ぎや、忘れて傷ませることもなくなりました」
 ご飯は毎晩、翌日の昼の分まで鍋で炊き、おひつで保存。暑いときは酢を入れて炊く。心配なときは、チャーハンにするなど火を通す。野菜が残ったら、漬物や天日干しに。
 洗濯は、風呂の残り湯をたらいに入れて手洗い。固形せっけんを使っている。
 掃除は、ほうきと雑巾。テレビは箱に入れて押し入れにしまい、夫が見るときだけ出す。パソコンは使うときだけコンセントにつなぎ、電話も夜はコンセントから抜く。夜間の電力使用はゼロだ。
 照明は、食事をする部屋と台所、風呂にLED電球と蛍光灯があるだけ。家事は日があるうちに済ませ、子どもたちは午後七時には就寝。夜は、太陽光で充電したソーラーランタンを使う。
 昨冬は炭火の掘りごたつで家族だんらん。夏は毎年、部屋のふすまを外して風通しを良くし、ヘチマなどの「緑のカーテン」で遮熱。暑い夜、夫は扇風機を一時間ほど使うが、東さんたちは「布団にござを敷き、水枕を使えば快適です」。
 東さんのお手本は大田区の一軒家で暮らす九十二歳の祖母。子どものころに、ものを大切に使い切るコツを学んだ。その影響もあって、東京農業大に進学して環境保護などについて学んだ。登山サークルで一年に一週間を山小屋で過ごし、電気、ガス、水道のない生活の経験が節電にも生きている。
 節電を「実験みたい」と楽しむ東さん。ブログでも取り組みを紹介しており「お役に立てばうれしい」。ブログ名は「エコを意識しながら丁寧に暮らす」。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012070102000078.html
計画停電の告知ハガキが届いてましたが節約もここまでくるとなんだかなって感じ
冷蔵庫もなしって辛すぎ
昭和の初期の生活じゃん

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