日本の1960年代の名車たち──未来を描いた小さなボディ

先日、以前ご紹介したトヨタ2000GTとはまた異なる、より庶民に寄り添った日本の大衆車たちの展示に触れる機会がありました。どの車も、それぞれの時代に夢と希望を乗せて走っていた名車たちです。今回は、そんな1960年代を彩った日本車をいくつかご紹介します。


🚗三菱500 A11型(1961年)

三菱初の量産軽自動車であり、“国民車構想”に応えた一台。丸みのあるデザインが愛嬌たっぷりで、戦後復興の足音が聞こえるようです。

🚙パブリカ UP10型(1961年)

トヨタが低価格・高耐久性を掲げて開発したモデル。公募によって名付けられた「パブリカ」は、まさに「パブリック(大衆)」の象徴でした。

🌸ダットサン フェアレディ SP310型(1963年)

スポーティな2シーター・オープンカーで、日本から世界に羽ばたいたモデル。後のZカー誕生にも繋がる記念碑的存在です。

🏯トヨペット クラウン RS41型(1963年)

威厳と風格に満ちたボディライン。当時の上級車として、官公庁やタクシーでも重宝されました。

🏁ホンダ S500 AS280型(1964年)

“二輪のホンダ”から“四輪のホンダ”への第一歩。エンジンはバイク譲りの高回転型で、軽快な走りに胸が高鳴ります。

🌆トヨペット コロナ RT40型(1964年)

「BC戦争(ブルーバード vs コロナ)」の真っ只中に登場し、トヨタの販売網強化とともに拡販の主力となった実力派。

🔷ダットサン ブルーバード P411型(1965年)

エッジの効いたデザインと高い実用性。ライバル・コロナとしのぎを削ったセダン競争の立役者です。

☀️ダットサン サニー 1000 B10型(1966年)

“若者と新婚家庭のための車”をコンセプトに誕生したモデル。テレビCMでは「隣のクルマが小さく見えます」と印象的なキャッチも。

🛠️マツダ ファミリア SSA型(1966年)

ロータリーの影に隠れがちですが、この初代ファミリアは堅実な設計と合理性で、多くの家庭に歓迎されました。

🌟トヨタ カローラ KE10型(1966年)

“カローラ”の原点。のちの国民車の代名詞となるカローラの記念すべき第一号です。


これらの車たちは、いずれもモータリゼーションという大きなうねりの中で、人々の暮らしと夢を支えた存在でした。大きくて派手なスーパーカーとは違い、むしろ「隣に停まっていたかもしれないあの車」の記憶が、今なお深く心に残ります。

こうした1台1台に込められた思いと歴史に触れることで、私たちは当時の空気を少しだけ吸い込むことができる気がします。

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