日本車だけじゃない。トヨタ博物館には自動車史に名を刻むベンツの傑作たちもズラリと展示されている。今回はその中から特に印象的だった5台をご紹介します。
1. 世界初の実用自動車「ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン」(1886)
自動車という概念を初めて現実のものにした歴史的車両。カール・ベンツが開発したこの三輪車は、約0.75馬力の単気筒エンジンで約16km/hを出し、馬車時代からの脱却を象徴する存在です。その革新性は今なお自動車業界の原点として輝いています。
2. アール・デコの優雅さ「メルセデス・ベンツ 500K」(1934)
流麗なフェンダーに長いボンネット、そして160馬力を誇るスーパーチャージャー付き直列8気筒エンジン。500Kはまさに走る芸術。貴族やセレブリティに愛されたその姿は、クラシックカーの最高峰といっても過言ではありません。
3. 魅せる走りの象徴「メルセデス・ベンツ 300SL クーペ」(1954)
ガルウィングドアで知られる300SLは、技術・デザイン・スピードのすべてが最先端。機械式燃料噴射付きの直6エンジンで当時世界最速クラスの性能を誇りました。その革新は現代のSLS AMGやAMG GTにも受け継がれています。
4. ベビーベンツの先駆け「メルセデス・ベンツ 190E」(1982)
シャープな直線基調のボディ、空力性能、そして4リンク式リアサスによる走りのよさ。190Eは「小さなSクラス」とも呼ばれた完成度の高い一台で、特にコスワース仕様「2.3-16」はモータースポーツでも大活躍しました。
5. 威風堂々のフラッグシップ「メルセデス・ベンツ 560SEL」(1985)
5.6LのV8エンジン、広大な室内空間、そして当時最先端の安全技術群。560SELはまさにSクラスの真骨頂。国家元首から著名人まで、多くのVIPがこの車に乗って世界を移動しました。
こうして眺めてみると、それぞれの時代における“ベンツの挑戦”が浮かび上がってきます。クラシックな魅力に浸りつつ、トヨタ博物館で「モビリティの系譜」を感じるのも、また旅の楽しみのひとつですね。
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